2011年11月に自動車用機能安全規格 ISO26262 が発行されたのをきっかけとして、将来の自動運転サービスを実現する上で重要な機能の安全に関する議論が活発化してきた。 2010年11月にあるサプライヤ様が欧州OEMの「サプライヤ評価アセスメント」を受診するに伴う相談を受けた時に、初めてISO26262 の言葉を知った。 早々、規格書(当時はDIS版)を購入し中身を見たが、PART-2の管理やPART-6のソフトウェアに関する内容を見て、当時の自動車業界のサプライヤには到底出来ていないことばかりが書かれていたのを見て愕然とした。小谷田は電機業界だったので、既に96%の活動はプロセス定義し実施していたので「なんだ、もうとっくにできてるじゃん。当たり前の事しか書いていないネ。」と判断したが、規格が対象としている自動車業界は全く対応していなかった。 この規格は「Japanese Supplier Killer!」だ、と思った。 携帯事業がなくなりテレビもなくなり、次は自動車か?、と思った。 また、小谷田は既に開発プロセスで実施していたので、なぜ、今頃、こんな規格が発行されたのか、規格の目的は何か、不明点が一杯あった。 当時、様々な日本でのカンファレンスでOEMやサプライヤ、コンサルの方がISO26262の事を講演していた。講演終了後に小谷田の疑問をぶつけてみたが、誰一人答えられる人はいなかった。「ア~、この人たちは開発経験が無いのだナ、だから、答えられないのだ」と感じた。 意味のない活動は小谷田は実施しない主義なので、何とか疑問を払拭すべく、2011年7月に規格の発行の地である欧州のカンファレンスに参加し情報を収集した。 カンファレンスで発表するとともに、情報収集のために各社の拠点に伺い、ダイムラ(ブーブリンゲン)やBMW(ミュンヘン)のエキスパートから小谷田の疑問に対するすべての答えを聞くことができた。 機能安全とは、自動車に組み込まれている電気・電子装置の開発成果物が安全であることの説明責任を果たすことを目的とした規格である、と言うのが小谷田の最終結論である。 この「説明責任を果たす」と言う言葉を2011年当時誰も教えてくれなかったのは、当時のカンファレンスで発表した方たちは、地獄の開発現場を経験していない評論家であったから、と判断した。 やっと、最近になってコンサル会社でも説明責任を果たす、との言葉を使い始めたが、遅い!! 組込開発は、評論家は論じてはいけない。 開発現場に寄り添う活動が重要である。 これを、世の自動車関連の若き技術者に伝えるべく、電機業界の年収300万円ダウンを承知の上で、日本自動車研究所に転職した。 だから、機能安全で人生を狂わされた、と小谷田は言っている。 機能安全とは、安全であることの説明責任を果たすための活動で、リスク管理のもと安全側に倒す安全機構を実装することである。